おしっこの色がいつもより濃く、何かの病気ではとドキっとしたことはありませんか?
体の異常がなくとも、生活習慣や口にしたものによって、尿の色が濃くなることがあります。
尿の色が濃くなる原因を知っていれば、体に異常があるかどうかをすぐに判断することが可能です。
こちらの記事では、尿の色が濃くなる主な原因についてご紹介します。
病気などの異常がなくても尿の色が濃くなってしまうことがあります。主な原因は、体の水分が失われて脱水状態になっている場合、睡眠中の腎臓の働きによるもの、ビタミン系サプリメントを飲んだ場合の3つです。
夏の暑い日や運動などにより汗をたくさんかくと、体が脱水状態になります。体内の水分が減ってくると、腎臓はおしっこの量を減らして体内の水分を確保しようとします。おしっこの中の水分量は減っても、おしっことして排泄される老廃物や毒素などの成分量は変わらないので、色が濃く見ます。この状態になったら速やかに水分を摂取して、脱水状態を改善しましょう。
朝起きて一番のおしっこは、色が濃いと感じることがあります。これは、腎臓の働きによるものです。睡眠中も覚醒中と同じように腎臓が働いていると、おしっこをするために夜中起きることになってしまいます。そのため腎臓には睡眠中のおしっこ量を調整する機能があり、おしっこが濃縮されることで色が濃くなります。朝一番のおしっこの色が濃いのは、腎臓が正常に働いている証拠です。
ビタミンB群などが入ったサプリメントや栄養ドリンクを飲むと、おしっこの色が鮮やかな濃い黄色になります。これはサプリメントや栄養ドリンクに入っている成分の色が、そのままおしっこの色として出てくるために起こる現象です。摂取したビタミンB群のうち、約50%はそのまま体外に排出されると言われています。ビタミン系のサプリメントや栄養ドリンクを飲んだ後のおしっこが、蛍光色のような派手な黄色をしていても問題はありません。
脱水、寝起き、サプリを飲んだなどの原因が考えられない場合は、何らかの病気により体に異常が起きている可能性があります。おしっこの色が濃くなる病気として代表的なものは、肝臓病や胆道の障害です
ビリルビンは赤血球が壊れるときに排出される代謝物で、黄色をしています。血液中のビリルビンが増加すると、おしっこにもビリルビンが現れておしっこの色が褐色になってしまいます。さらにビリルビンが増えると、黄疸といって皮膚の色が黄色くなってきますが、その前におしっこの色の変化で病気に気づくことが可能です。
おしっこの中のビリルビンが増える原因は、肝硬変や肝不全など肝臓の病気により肝臓の機能が衰えてビリルビンが処理できなくなる場合と、胆管が詰まることでビリルビンが溢れて血液中のビリルビンが増えてしまう場合があります。肝硬変や肝不全が悪化すると元の状態に戻すのが難しくなり、肝臓がんや肝不全になって命を落とす危険性があります。胆管が詰まる原因は、胆のう内の結石がこぼれ落ちて管が詰まる場合や、がんなどの腫瘍で管が詰まる場合があります。胆道が詰まっている状態が長引くと、肝臓や腎臓などの臓器に悪影響を及ぼします。さらに管が詰まることで細菌性胆管炎が起きると、命に関わる危険もあります。
おしっこの色の変化によりこれらの病気に早く気付けば、命の危険にさらされる前に治療を行うことができます。
おしっこの色がいつもと違うなと感じた時、脱水症状やサプリメントなどの心当たりがない場合は、病気の可能性があります。しっかりとチェックして毎回同じ様な色ならば、早めに病院で検査を行い、病気かどうか専門家に診断してもらいましょう。
また、血尿、白い尿、泡が消えないなどの異常がある場合も、早めに確認する必要があります。おしっこがピンクや赤色で、肉眼で血が確認できる場合は、膀胱がんや腎不全などの重篤な病気である可能性があります。普通のおしっこは淡い黄色で透明ですが、白っぽく濁っている場合は、尿路感染症によりおしっこに膿が混じっている状態かもしれません。おしっこをすると便器で泡立ちますが、通常はそのうち泡が消えます。しかしその泡がなかなか消えない場合は、尿に蛋白や糖が多く混じっていることが考えられます。蛋白が混じっている場合は腎臓の異常が、糖が多い場合は糖尿病の可能性があるので、どちらにしても精密検査が必要です。
おしっこの色の状態は、体の状態を表すものです。いつも何気なくトイレに流してしまいがちなおしっこですが、毎日色や状態を確認することで、体の調子を確認できます。おしっこの異常には重篤な病気が隠されている場合があるので、もしおかしいと感じた場合は早めに医療機関を受診したり、人間ドックや健康診断を受けたりなどして、隠れた病気がないかチェックしていもらいましょう。
男性は立っておしっこをすることが多いので、尿の色を確認しやすいです。座っておしっこをする場合、色を確認せずにトイレを流してしまう人も多いかも知れませんが、体のバロメーターだと思って流す前に色を確認する習慣をつけてみてはいかがでしょうか。