【泌尿器科医監修】尿の臭いが甘い原因は何?ー糖尿病の可能性もー

【尿ラボ】【泌尿器科医監修】尿の臭いが甘い原因は何?ー糖尿病の可能性もー

尿の臭いが甘いように思える時の原因として糖尿病の可能性が挙げられます。
この記事では、尿の臭いと糖尿病の関係性、その治療や対策について説明いたします。

 

尿の臭いが甘い場合、糖尿病を疑おう

尿の臭いが甘いと感じた時に疑われる要因の一つとして糖尿病があります。
もちろん尿の臭いだけで糖尿病だと判定することはできませんが、口の渇きや尿の回数や量が増えた、夜間尿や全身倦怠感があるようならば、すぐにでも病院で検査をしっかりと受けることをおすすめいたします。

糖尿病になると尿の臭いが甘いと感じられるのは、「尿糖」といって体内で分解されなかったブドウ糖が尿として排出されるからです。
独特の甘い匂いに加えて、尿の泡立ちも一つの特徴です。
しかし、尿は食べたものの影響を受けるため、必ずしも一回の尿の臭いや色だけでは判断できないことも覚えておいてください。
腎臓疾患や運動などで水分を多く失った状態でも尿の泡立ちが出ることがあります。またお酒を飲んだ後に尿の臭いが甘いと感じることもあります。

 

糖尿病とはどんな病気か

 

【尿ラボ】糖尿病とはどんな病気か

糖尿病は、日本人の5人に1人が患っている、もしくはその予備軍と言われています。こうした状況ゆえに糖尿病は、国が定めた「重要疾患」の一つと位置づけられています。

糖尿病は簡単に言えば、血液中のブドウ糖濃度が上がる病気です。
もちろん健康な人でも常時血液中には糖が流れています。健康な時には、ブドウ糖を分解して細胞に取り入れる働きをするインスリンによって、血中のブドウ糖はエネルギー源として働きます。

しかし糖尿病になるとこのインスリンの働きが弱くなり、ブドウ糖がうまく細胞に運ばれず血液中にあふれた状態(高血糖)が続くことになります。その結果血中には必要以上にブドウ糖があるのに、細胞にはエネルギーが行き渡らないため、からだ全体のエネルギーが不足してしまうのです。
そのため糖尿病になった人は、体重の減少や常にのどが渇いた状態などの症状が表れます。血中に多くあふれたブドウ糖は処理しきれずに尿糖として尿から排出されることになり、尿の甘い臭いが感じられるようになるのです。

糖尿病が恐ろしいのはそれだけではありません。
高血糖の状態が長く続くと、血管に大きなダメージを与えることになります。その結果としていくつもの病気を引き起こす(合併症)ことが知られており、神経や眼、腎臓にも多大なダメージを与えることになります。

糖尿病の代表的な合併症としては、失明や血管障害、神経障害や手足のしびれが生じて、最終的には下肢を切断する必要が生じることもあります。腎臓機能不全のために人工透析を受けるようになる方も多くいます。またうつ病やがんのリスクが高くなることも報告されていますので、多くの健康リスクがあることが研究によって明らかになっています。

参考:
「糖尿病とは」(糖尿病医療センター)
「おしっこが甘くなる⁉」糖尿病がコワイ、本当の理由(文春オンライン)

 

糖尿病の診断と治療

糖尿病の診断

糖尿病の診断は、血液検査の結果によって判断されます。
特に注目される数値は「空腹時血糖値」と「HbA1c値」の2つです。空腹時血糖とは、10時間以上絶食した後の早朝空腹時の血糖値のことです。
HbA1c値とは、「ヘモグロビンA1c」と呼ばれるもので、血液中のブドウ糖とヘモグロビンが結合した「糖化ヘモグロビンの割合」を表した数字です。

糖尿病の検査ではこの2つの数値が計測され、2つの数値がいずれも基準を上回っていると糖尿病と診断されます。
いずれか1つの数値だけが糖尿病の基準値を上回っていると「糖尿病型」と診断されます。再検査をして再び1つあるいは2つとも基準値を上回ると、やはり糖尿病と診断されることになります。
ただしHbA1c値だけが基準値を2回上回ったとしても、「糖尿病型」と診断されますが「糖尿病」と診断はなされません。

 

【糖尿病型の判断基準】

血糖値とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の数値で判断します。

①血糖値が次の数値の場合

・空腹時:126mg/dL以上

・随時:200mg/dL以上

・経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)*:2時間で200mg/dL以上

(*)一定量のブドウ糖が含まれた飲み物を接種した後一定時間経過後に採血、血糖の経時変化をもとに糖尿病かどうかを評価する検査

②HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー):6.5%以上の場合

 

【糖尿病診断フロー】

 

【尿ラボ】糖尿病診断フロー

 

糖尿病の原因

糖尿病の原因としてよく言われるのは、肥満や運動不足、過食やストレスなどです。それに加えて遺伝的な要因がある事も分かっています。
こうした生活習慣に起因する要素が大きい糖尿病のことは、2型糖尿病と呼ばれています。

それに対して、遺伝子異常などで膵臓からインスリンの分泌がほとんどでなくなることで高血糖になる糖尿病は、1型糖尿病といわれます。また他の病気や薬の影響で糖尿病になるケースも報告されています。

ここでは主に2型糖尿病の原因について掘り下げて考えますが、この病気は生活習慣に大きく影響されるため「生活習慣病」と呼ばれることもあります。

例えば運動不足が続くことで糖尿病リスクが向上することは、様々な研究結果によって明らかになっています。逆に運動することで、血糖値やコレステロール値などの血液中の数値を低下させることができますので、糖尿病リスクを減らすことができます。

また食事の影響について考えておく必要があります。
糖尿病は甘いものを食べすぎる事が唯一の原因ではありません。糖尿病につながりやすい食事の仕方もありますので、食べるものだけでなく食べ方にも注意が必要です。
例えば暴飲暴食や早食いは、糖尿病リスクを高める食べ方と言われています。こうした糖尿病リスクを高める食べ方を避けるために、空腹を感じてから食事をすることや、しっかりと噛んで食べる習慣をつけることが大切です。

肥満も糖尿病の原因の一つと言われていますが、それは肥満の原因の一つとして、運動不足や上記に挙げたような食事スタイルが影響しているからです。

参考:「糖尿病とは」(糖尿病医療センター)

 

尿の臭いが甘いと感じたら

 

尿の臭いが甘いと感じたなら、迷わず病院で受診することをおすすめします。
糖尿病は、早期発見と治療が一つのカギと言われています。尿の臭いが甘いと感じるという事は、糖尿病が進行している可能性がありますので、すぐにでも対策を取る事は大切です。
糖尿病は痛さを伴うものではないため気づきにくい病気と言われています。しかし合併症を引き起こすと大きな健康問題に発展しますので、少しでも兆候を感じた時に行動することです。

それと同時に、取り上げてきたように生活習慣が大きな影響を及ぼす病気でもありますので、運動習慣や食生活を見直すことも大事なことです。
尿の臭いは健康の一つのバロメーターとなりますので、定期的に注目してみる事は、長く健康な生活を送る助けになるはずです。

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