28歳にして尿トラブルを経験した私は、とても恥ずかしくて辛い思いをしました。
しかし、その思いを無駄にはせず、対処法を考えるきっかけへと変えました。
工夫や対策によって、状況は大きく改善出来るのです。
私が大人になってから初めて尿漏れをしてしまったのは28歳の時で、友人と外食をした帰り道でした。
駅から一人で自宅まで歩いている最中に強い尿意を感じたのですが、周囲は住宅街でトイレに駆け込むのは不可能でした。何とか家まで持ちこたえなければと思いました。しかし焦ると余計に尿意が強くなっていき、自宅までまだ大分距離があるという状況に絶望感すら抱き始めました。
そしてついに、我慢の限界を超えて尿漏れをしてしまいました。一度漏れ出すと自分の意思では止められません。みるみるうちに下着や洋服が濡れていき、どうして良いか分からず立ち尽くしてしまいました。夜道だったので周りに気付かれなかったのが唯一の救いでした。
尿漏れをしている最中は頭が真っ白になっていましたが、漏れた後はすぐに我に返り、恥ずかしさと情けない気持ちでいっぱいになりました。大人なのに、さらに外で失敗してしまうなんて私はなんて最低なんだろうと自己嫌悪に陥りました。子供や高齢者ならまだしも、20代だったので余計に辛かったです。
濡れた服を身に付けながら歩くのは不快でしたし、本当に惨めでした。外にいる時はなるべく平静を装っていましたが、帰宅後は思わず涙を流してしまいました。そして数日間は落ち込みました。
それから何年も経ちますが、あの日に感じた焦燥感や絶望感、羞恥心や惨めな気持ちは忘れられません。記憶も鮮明に残っており、時々ふと頭をよぎって苦い気持ちになります。
私の尿トラブルは、数年前の事故で脊髄を不全損傷してしまったことが直接の原因です。
膀胱を支配する神経を傷付けてしまったことで、排尿のコントロールが上手く出来なくなりました。頻尿や、尿意を感じると長く我慢することが出来ない等の症状があります。そのため、無意識に水分を控えてしまいます。
初めて尿漏れをしてしまった時は、駅でトイレに寄らなかったことと、外出中で気持ち的に緊張していたことが作用して漏れに繋がったのだと思います。
緊張感は尿意に作用するようで、自宅でリラックスしている時と、外出中や人と会っている時とでは頻尿の度合いが変わるのです。外出時は例えあまり尿意がなくてもトイレに行ける時は行っておくべきだったのです。
恥ずかしい思いをしてから外出も億劫になっていましたが、次第に私は二度と同じ思いをしないよう色々な対策を考えるようになりました。
まず、泌尿器科に相談へ行き頻尿を抑える内服薬を処方してもらいました。その薬を飲むと膀胱に尿を溜めやすくなり、頻尿や切迫感のある尿意を抑えられます。
他には、出掛ける際に尿漏れパッドを使うようになりました。これを下着につけておけば、万が一トイレへすぐに行けない状況に陥ったとしても服を汚す心配はありません。
もしもの時は漏れても大丈夫、そう思えるだけで安心感や気持ちのあり方が全く変わるのです。遠出する時は量が多くても大丈夫なリハビリパンツにして、鞄に予備も入れておくようにしています。
34歳になった現在も、私は尿トラブルや悩みを抱えています。身体の特性上完治はしないものですし、この悩みとは生涯付き合っていくのだと覚悟をしていますが、以前より大分前向きになったと思います。
最初の頃は人と食事をしたり遠出するのを避けてばかりいました。
しかし今は先述の対策と共に、親しい友人に悩みをカミングアウトして自分の特性を知ってもらいました。それによって会っている最中に遠慮なくトイレにも行けるようになりました。
以前は何度もトイレに行って変に思われないか心配で、タイミングを逃すこともあったのです。
この数年で、尿漏れの悩みとは工夫や事前の対策によって改善出来るのだと学びました。現在は外食や旅行を楽しんでいます。
私は事故に遭うまで、自身が若い内から尿漏れの悩みを持つとは想像していませんでした。このような悩みは高齢になってから生じるもので、ずっと先の話だと思っていたのです。
しかし、実際は20代のうちから向き合うこととなりました。人生とはいつ何が起きるのか本当に分からないものだと痛感しました。
不自由さを感じることは正直多々ありますが、毎日悲観していてはもったいないと思います。
最近は尿漏れパッドにも様々な種類がありますし、薬も色々あります。また、ネット等で同じような悩みを持つ人がどう対処しているのか情報も得ることが出来ます。
尿トラブルを抱えていても人生は続いて行くので、工夫をしながら上手に付き合って人生を楽しみたいです。