尿の匂いや色、泡立ちは健康のバロメーターと言われます。
尿で気になる症状として、尿から甘い匂いがするケースがあります。尿からする甘い匂いで、糖尿病では? と不安に思う人もいるのではないでしょうか。
実は尿から甘い匂いがするのは、糖尿病以外にも理由があります。
この記事ではなぜ尿から甘い匂いがするのか、糖尿病以外の原因を紹介します。
正常の血糖値である80(mg/dl)~110(mg/dl)の範囲内でしたら、尿の中にブドウ糖が入ることはほとんどありません。
しかし、糖尿病になり、血糖値が170(mg/dl)を超えると、尿の中にブドウ糖が出てくるようになります。
甘い匂いがする=尿に糖が出ている=糖尿病とは限りません。
稀に血糖値は正常でも、尿に糖がでる症状を腎性糖尿と言います。
正常な場合だと腎臓でろ過されたブドウ糖は90%が近位尿細管で、残りの10%はそれよりも膀胱に近いところで再吸収されるので尿に出てくることはほとんどありません。
尿に血糖値が出てくる目安の血糖値は通常だと160(mg/dl)です。
しかし、稀にこの数値が低い人がいて、その人の場合だと通常よりも尿に糖が出やすいという症状がみられます。
それが腎性糖尿です。
腎性糖尿は疾患ではないため、通院の必要はなく放置しても問題はありません。
しかし、本人がそのことを知らないと健康診断で糖尿病の誤診を受けたり、逆に腎性糖尿だからと思っていると糖尿病を病院で見落とされてしまうというリスクがあるので注意が必要です。
コーヒーやアルコール、ニンニクなどの匂いの強いものは尿の匂いに影響が出やすいです。
飲食したものによって匂いは左右されるので、一時的な尿の甘い匂いは心配いりません。
また、血液中の糖が尿の中に輩出された尿糖は食後2時間に輩出されやすいです。
空腹時の血糖値が正常値内でも、食後のみ高血糖になるという症状があります。
この症状を食後高血糖と言います。
通常であると食後2~3時間以内に血糖値は110(mg/dl)以内の値に戻りますが、食後高血糖の場合は食後しばらく立っても140(mg/dl)以上の値を示し、その状態が続くことを言います。
食後高血糖は食事後には次第に血糖値が下がっていくため、通常の検診だと見落とされる可能性が高い症状です。
食後に血糖値が急激に上がり、その後急激に下がる症状は別名「血糖値スパイク」とも言われています。
この食後高血糖、別名「血糖値スパイク」は放置しておくと糖尿病になる可能性があるため要注意です。
では、この食後高血糖はどうしたら判明するのでしょうか? それには尿糖チェックを行うことです。
尿糖は排尿と排尿の間の血糖の状態が反映されるという特徴があります。
尿糖検査では排尿した時点での血糖値を調べることはできませんが、食後高血糖だったかどうかは間接的に調べることができるからです。
また血液検査を行い、HbA1c(ヘモグロビンエイワンシー)を把握しておくのもおすすめです。
このHbA1cは赤血球中のヘモグロビン(Hb)にブドウ糖が結合したものです。
この値が血液検査をした時点から1~2か月以内の血糖値の推移の指標になります。
5.5%以下であれば正常値ですが、5.6%~6.4%であれば要注意、6.5%以上であれば糖尿病の可能性が高くなります。
その他には糖化負荷検査を受けておくのもおすすめです。
この検査は空腹時血糖をまず始めにはかり、その後ブドウ糖水溶液(ブドウ糖75g含有)という甘いサイダーのようなものを飲みます。
その後、1時間血糖値、2時間後血糖値をチェックします。
その値の推移によって、糖尿病のリスクがあるかどうか判断することができます。
甘い匂いがするから糖尿病であるということはありません。腎性糖尿という可能性もあることをご説明しました。
しかし、糖尿病は日本人の国民病と言われるほどポピュラーな病気です。自己判断せず、少しでも気になったら、早めに病院を受診することをおすすめします。
日頃から健康のバロメーターである尿の様子を観察し、日々を健康に過ごしましょう。