尿ラボでは、65歳以上の195名の男性に、尿漏れに関するアンケートを行いました。
これによると、約半数以上の方が尿漏れ関して悩みを抱えていることが判明しました。
60歳以上になると実に8割の人が何らかの尿トラブルに悩んでいることがわかります。
その内容としては、「ちょい漏れ」「頻尿」「夜間の頻尿」がそれぞれ2割ずつとなっています。
歳をとるにつれて、排尿のコントロールが難しくなり、尿のキレが悪くなってちょい漏れして下着や衣服を汚してしまう。
尿の回数が増えて何度もトイレへ。夜、寝ていてもトイレに起きなければならない。こんな生活が続くと健康にも影響が出てしまいそうです。
「ちょい漏れ」も「頻尿」もそれだけで大きな病気というわけではありませんが、毎日の生活が不便になり、クオリティが下がってしまいます。
また、このグラフには表れていないその他の回答には「尿の出が悪い」「尿の回数が少ない」「排尿に勢いがない」といったものがありました。
60歳以上の尿のトラブルとして、アンケート結果を見ると頻尿、夜間頻尿、失禁が回答されております。排尿トラブルが無い割合は17%と、多くの方が尿のトラブルを抱えていることがわかります。実際、私が泌尿器科医として外来診療をしている中でも、多くの方は尿のトラブルを自覚しておりアンケート結果は納得のいくものです。
しかしながら、実際尿のトラブルを患者様が抱えていても、恥ずかしさや年齢からのあきらめからか、泌尿器科医にさえ尿の悩みを打ち明けにくい状況でこちらが質問しても本音で答えてくれないのが実情です。
症状によっては薬物療法などの対処の仕方があるのですが、患者様から症状や悩みをおっしゃっていただけない限り、正確な診療・治療をすることは難しくなってしまいます。
やはり、夜間頻尿や尿失禁は命に関わる症状ではないですが、日常生活の満足度を大きく落としてしまうものだと思いますので、日常生活に困ったら遠慮無く泌尿器科医に尿のトラブルを告白してもらいたいものです。
赤ちゃんや幼児がおしっこをトイレでうまくできないのは成長の段階としてしかたのないことです。
それと同じように、歳をとるにつれて排尿の機能が落ちていくのは、人間の身体にとっては避けて通れない当たり前のことです。
ただ、血圧やコレステロールについては気軽に話せても、こと排尿のこととなると「病気」ではなく「恥ずかしいこと」という思いが先に立ってしまいがち。
家族にも相談することができず、自分でなんとかしようとしてひとりで悩みを抱えてしまうことが多いようです。
しかし、医師に相談すればできる専門的な対処法がたくさんあります。
コメントにもあるように、泌尿科のお医者様にとっては、尿のトラブルはよくある病気の一つです。
足が痛くなると病院に行ったり杖を使ったりするように、尿トラブルを自覚したときにも気軽に病院に行って治療を受けてみましょう。
排尿で困っていることを伝えれば、必要な検査を受けたり、服薬などの治療を受けたりすることができます。
なにより困ったときに相談する相手がいるという安心感を得られるのが大きいですね。
また、家族にとっても、排尿で悩んでいることを内緒にされてある日大きなトラブルに巻き込まれるよりも、「おしっこの出が悪いんだ」と日ごろから相談されているほうが助かるものです。
相談する側も、相談される側も、不要なストレスから解放されます。
人生100年時代。
尿トラブルを抱えたままだと、楽しいはずの外出や旅行に消極的になったり、夜何度も起きて睡眠不足になり健康悪化を招いたりしてしまいます。
自分ひとりで悩みを抱えず、まずは病院に相談してみてはいかがでしょうか。
聖隷浜松病院・泌尿器科医師
【保有資格】
日本泌尿器科学会専門医
身体障害者福祉法第15条指定医
Robotic Observation program For Urology Surgery修了(da Vinci)
Certificate of da Vinci System Training As a First Assistant
Certificate of da Vinci System Training As a Console Surgeon
がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了